欠品で売上を逃さないために|収益で考える「安全在庫」の決め方

よく売れているはずの商品が、ある日「在庫切れ」になっている。買おうとしたお客様は、そのまま別のショップへ移ってしまう。これは、多くのネットショップが気づかないうちに繰り返している機会損失です。

かといって、すべての商品の在庫を厚く持てば、今度は売れ残りと資金の固定化を招きます。どの商品に、どれだけの在庫を備えておけばよいのか。この記事では、「安全在庫」という考え方と、それを収益の観点から決めていく進め方を解説します。

欠品は、記録に残らない売上の損失

欠品の本当のこわさは、損失が「見えない」ことにあります。

商品が売れれば、その金額は売上として記録に残ります。しかし、在庫切れで買えなかったお客様の存在は、どこにも記録されません。「売れたはずだったのに売れなかった」分は、ゼロ円として静かに通り過ぎていきます。

さらに、欠品の影響は一度の機会損失にとどまりません。「買おうとしたのに買えなかった」という体験は、お客様をほかのショップへ向かわせます。一度ほかのショップで買えてしまえば、そのお客様が戻ってくる保証はありません。欠品は、その場の売上だけでなく、将来のリピートの機会も逃しているのです。

だからといって、在庫を増やせばよいわけではない

では、欠品を防ぐために在庫を多めに持てばよいかというと、そう単純ではありません。

横軸を在庫量として、左の欠品コスト曲線と右の在庫保有コスト曲線が中央で交差し、最適在庫量(安全在庫)を示すグラフ

在庫を過剰に持つと、保管のコストがかかり、仕入れに使った資金は商品の形のまま固定されます。売れ行きが鈍ければ、その在庫はやがて長期間動かない「塩漬け在庫」になっていきます。塩漬け在庫の問題と解消の進め方は、別記事「塩漬け在庫を『今日のおすすめ』で動かす|在庫起点マーケティングの実践ワークフロー」で解説しています。

在庫は、少なすぎれば欠品というコストを生み、多すぎれば過剰在庫というコストを生みます。だからこそ必要なのは、「ちょうどよい在庫量」を商品ごとに見極めることです。

「安全在庫」とは何か

ちょうどよい在庫量を考えるための基準が、「安全在庫」です。

安全在庫とは、需要のばらつきや、商品が入荷するまでの時間に備えて、欠品を防ぐために最低限持っておきたい在庫量のことです。商品の売れ行きには波があり、仕入れを発注してから届くまでには時間がかかります。その間に在庫が尽きないだけの「備え」が安全在庫です。

理屈のうえでは、需要の動きが分かれば安全在庫は計算できます。しかし実際には、商品ごとに売れ方は違い、扱う商品点数が多いショップでは、一つひとつを手で計算するのは現実的ではありません。安全在庫という考え方は知っていても、運用に落とし込めていないショップは少なくありません。

すべての商品を、等しく守る必要はない

安全在庫を考えるうえで大切なのは、「すべての商品を同じように守ろうとしない」ことです。

ショップの売上や収益は、一部の商品が大きく支えているのが一般的です。だとすれば、欠品して最も痛いのは、その収益を支えている上位の商品です。逆に、ほとんど収益に貢献していない商品が一時的に欠品しても、影響は限られます。

つまり、安全在庫の確保には優先順位があります。まず収益上位の商品を確実に守り、欠品させない。限られた仕入れの資金を、どこに優先して充てるかを、収益という基準で判断するのです。

ストックビジョンの「安全在庫分析」

収益を基準に安全在庫を管理するための機能が、ストックビジョンの「安全在庫分析」です。

商品を収益順に縦に並べ、上位ほど大きく強調表示し、それぞれに安全在庫を守る盾アイコンを添えて、収益上位商品から優先して欠品を防ぐ優先順位を示した図

私たちパークフィールドが提供するmakeshop公式アプリ「ストックビジョン」(在庫データを起点に、販促・接客・分析を連携させるmakeshop公式アプリ)の安全在庫分析は、makeshopの受注データをAPI経由で取得し、そのデータをもとに商品ごとの需要を計算して、安全在庫を算出する機能です。

そして、ストックビジョンの「商品別CVR分析」では、商品を収益順に並べて見ることができます。収益順に並べたうえで、上位の商品から安全在庫を確認していけば、「ショップの売上を支える商品から優先して欠品を防ぐ」という運用が実現します。勘や経験だけに頼らず、受注データに基づいて、守るべき在庫を見極められます。商品ごとの収益を見るという考え方は、別記事「『どの商品が利益を出しているか分からない』を解決する商品別収益分析」でも詳しく解説しています。

安全在庫分析を使った運用の進め方

安全在庫分析は、次のような流れで運用できます。

第一に、商品別CVR分析で、商品を収益順に並べます。第二に、収益上位の商品について、安全在庫分析で算出された安全在庫量を確認します。第三に、在庫が安全在庫を下回りそうな商品を、優先的に発注の候補とします。第四に、受注データは日々更新されるため、定期的に見直し、需要の変化に合わせます。

大切なのは、これを一度きりで終わらせないことです。商品の売れ行きは季節やトレンドで変わります。受注データに基づく安全在庫を定期的に見直すことで、需要の変化に追従しながら、欠品と過剰在庫の両方を抑えていけます。

在庫データを起点に、欠品も過剰も防ぐ

安全在庫分析は、makeshopの受注データという「在庫の動きのデータ」を起点に、発注の判断を支える機能です。

在庫データを在庫管理だけのものにせず、販促や分析の起点として活用する。この考え方を、私たちは「在庫起点マーケティング」と呼んでいます。詳しくは別記事「在庫データを起点にECの販促を変える|在庫起点マーケティングとは」で解説しています。安全在庫分析は、その考え方を「欠品を防ぐ」という場面で形にした機能です。

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よくある質問

安全在庫とは何ですか?

需要のばらつきや、商品が入荷するまでの時間に備えて、欠品を防ぐために最低限持っておきたい在庫量のことです。安全在庫を下回らないように在庫を管理することで、売れ行きの波があっても欠品を起こしにくくなります。

なぜ収益順に安全在庫を考えるのですか?

ショップの収益は一部の上位商品が大きく支えていることが多く、その商品が欠品したときの損失が最も大きいためです。限られた仕入れの資金を有効に使うには、収益上位の商品から優先して欠品を防ぐ判断が合理的です。

安全在庫分析は、どのようにして安全在庫を算出するのですか?

makeshopの受注データをAPI経由で取得し、そのデータをもとに商品ごとの需要を計算して安全在庫を算出します。受注データは日々更新されるため、定期的に見直すことで需要の変化に合わせた在庫管理ができます。

まとめ

欠品は、記録に残らないまま売上とリピートの機会を逃す損失です。一方で、在庫を増やしすぎれば過剰在庫というコストを生みます。必要なのは、商品ごとに「ちょうどよい在庫量」を見極めることです。

その基準となるのが安全在庫であり、すべての商品を等しく守るのではなく、収益上位の商品から優先して欠品を防ぐのが現実的な進め方です。ストックビジョンの安全在庫分析は、makeshopの受注データから商品ごとの安全在庫を算出し、商品別CVR分析の収益順の並べ替えと組み合わせることで、守るべき在庫を根拠を持って見極められるようにします。

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