「どの商品が利益を出しているか分からない」を解決する商品別収益分析

「売上は把握できている。でも、どの商品が本当に利益を生んでいるのかは、正直よく分からない」。多くの商品を扱うEC事業者から、よく聞く悩みです。

売上の数字は、ショッピングカートの管理画面ですぐ確認できます。しかし「収益」、つまりその売上から仕入れコストなどを差し引いて手元に残る利益は、商品ごとに見ようとすると途端に見えにくくなります。この記事では、商品別の収益分析で何が分かるのか、そしてそれを販促判断にどう活かすかを解説します。

「売上が大きい商品」と「利益を生む商品」は別もの

まず押さえたいのは、売上ランキング上位の商品が、必ずしも利益の稼ぎ頭ではないということです。

理由は、商品ごとに収益率が違うからです。自社で企画・開発した商品は収益率が高くなりやすい一方、他社から仕入れる商品は仕入条件、いわゆる掛率(定価に対する仕入価格の割合。掛率が高いほど手元に残る利益は薄い)が商品によってまちまちです。そして、人気のある商品ほど掛率が高めに設定される傾向があります。よく売れる商品ほど、1個あたりに残る利益の割合は薄い、ということが起こります。

その結果、「売れ筋」と「稼ぎ頭」がずれます。人気の仕入商品は、よく売れるので売上ランキングの上位に来る。しかし収益で計算し直すと、掛率の高さが効いて、思ったほど稼げていない。代わりに、売上順位ではそこまで目立たない自社開発商品のほうが、収益では上位に来る。多くの商品を扱うショップで、これはごく普通に起きることです。

問題は、売上しか見えていないと、この「ずれ」に気づけないことです。売れているという理由だけで、利益の薄い商品に販促リソースを集中投下してしまう。場合によっては、利益の薄い商品をさらに値引きして売る、という収益的には逆効果の判断につながります。

なぜ商品別の「収益」は見えにくいのか

ここで、もうひとつの壁にぶつかります。商品別の収益を見ようとしても、一般的なネットショップの仕組みでは、それが簡単ではないのです。

多くのショッピングカートの商品一覧や検索結果は、商品名・販売価格・登録日順でしか並べ替えられないことがほとんどです。「収益順」で商品を並べる、という機能がそもそも用意されていません。アクセス解析ツールのGA4も、サイト全体・ページ単位の分析には強い一方、商品単位のデータは把握しにくい特性があります。

つまり、「どの商品が利益を出しているか分からない」のは、運営者の怠慢ではなく、多くのツールが商品別の収益を見られるようになっていないという構造的な問題なのです。だからこそ、商品ごとに「アクセス・注文・売上・収益・在庫」を一覧で見られて、収益順に並べ替えられる環境を整えることが、解決の出発点になります。

商品別収益分析で「強化すべき商品・整理すべき商品」を見分ける

商品別の収益が見えるようになると、商品を次の観点で仕分けできるようになります。

強化すべき商品:収益への貢献が大きい商品です。売上順位は中位でも収益順で上位に来る商品は、隠れた稼ぎ頭。露出を増やしたり、在庫を切らさないようにしたりと、攻めの施策を打つ価値があります。

整理を検討すべき商品:売れてはいるが収益が薄い商品、あるいはほとんど動いていない商品です。とくに注意したいのが、仕入れてから一定期間まったく注文がない、いわゆる「塩漬け在庫」です。

塩漬け在庫の本当の怖さは、保管スペースを取ることよりも、キャッシュフローを圧迫することにあります。仕入れと売上では、お金が動くタイミングが違うからです。仕入れ代金は、末日締めの翌月末払いが一般的です。一方、売上の入金は、決済方法にもよりますが、カード会社などから翌月10日や25日に支払われるのが一般的です。

ここで問題になるのが、売上の入金より、仕入れ代金の支払いのほうが先に来てしまう状況です。つまり、仕入れた商品をその当月のうちに売り切れないと、こうした「払いが先、入金が後」の状態が生まれやすくなります。これが多くの商品で積み重なると、手元の資金が苦しくなる。塩漬け在庫がキャッシュフローを圧迫するとは、こういうことです。保管スペースのコスト以上に、重視すべき問題だと言えます。

ところが、売上の数字を眺めているだけでは「動いていない商品」は視界に入りません。商品別の分析で全商品を一覧できると、「仕入れてから30日以上注文がない商品」のような塩漬け在庫が、はっきりと浮かび上がります。見えないものには手を打てません。可視化することが、塩漬け在庫対策の第一歩です。

見つけた塩漬け在庫を「動かす」具体策

塩漬け在庫を可視化できたら、次はそれを動かす番です。手段はいくつかありますが、代表的なのがタイムセールです。値引きすることで、止まっていた商品に動きを作ります。

ここで、もうひと工夫できます。タイムセールは「コンバージョン率を高める」施策ですが、そもそも商品が見られていなければ売れません。そこで「アクセスを集める」施策と組み合わせます。たとえば「今日のおすすめ商品」のような枠をトップページや左メニューの目立つ場所に設け、塩漬け在庫の商品をそこに掲載する。掲載でアクセスを集め、タイムセールでコンバージョンを高める。この2つを組み合わせると、止まっていた在庫が動き出します。さらに、その商品のベネフィットを紹介する短いコラムを添えれば、お客様の納得感が増し、より購入につながりやすくなります。

ただし、こうした「毎日入れ替わるおすすめ枠」のようなデイリーコンテンツは、手作業で運用しようとすると担当者の負担が大きく、数人規模の現場では現実的に続けられません。ここが、多くのショップがデイリーコンテンツに手を出せない理由です。

この負担は、予約による自動化で解消できます。たとえばストックビジョンでは、「キャンペーン自動配信」で「今日のおすすめ商品」枠を24時間限定や3日間限定で配信予約でき、「タイムセール自動化」で割引を予約できます。具体的な運用イメージはこうです。商品別CVR分析(CVRはコンバージョン率=訪問者のうち購入に至った割合)で1週間分の塩漬け在庫(たとえば5品)をリストアップし、それぞれの紹介コラムを用意する。毎週月曜に、火曜から土曜までの5日分のおすすめ枠配信と割引設定をまとめて予約する。これを毎週のルーティンにすれば、担当者が数人の現場でも、塩漬け在庫を計画的に売り切る運用が回せます。在庫データの分析を起点に、配信と販促を自動でつなぐ。これも在庫データを起点にした販促の一例です。

「やってみた施策」の効果を、商品単位で検証する

商品別収益分析のもうひとつの価値は、打った施策が本当に効いたのかを検証できることです。

たとえばタイムセール。セールを実施したものの、「売上は増えたけれど、値引き分を考えると本当に得だったのか」が曖昧なまま、なんとなく次のセールに進んでいないでしょうか。

商品ごとの明細レポートで「割引中」と「定価販売中」を分けて見られると、これがはっきりします。同じ商品について、タイムセール中の収益額・CVRと、定価販売中の収益額・CVRを並べて比較する。すると、「このセールは値引きしてもCVRが伸びて収益も増えた=成功」「このセールは値引きした分だけ収益が減った=効果が薄かった」と、施策の良し悪しが判断できます。感覚で「セールはやったほうがいい」と続けるのではなく、データで検証しながら次の販促を組み立てられます。

同じことが「在庫」についても言えます。商品を「在庫あり」で売っているときと「お取り寄せ」で売っているときの収益額・CVRを比較すると、商品ごとの最適な売り方が見えてきます。在庫を持たなくても同じように売れる商品なら、お取り寄せで売ったほうが在庫リスクがなく有利です。逆に、お取り寄せにすると途端に売れなくなる商品もあります。そういう商品は、多少無理をしてでも在庫を持っておくべき、という判断ができます。

割引・在庫といった条件別にCVRを比較する考え方は、別記事「GA4では分からない『商品別CVR』の見方」でも解説しています。

「どの売り場から売れたか」まで分かると、施策が磨ける

商品別収益分析を突き詰めると、「どの商品が」だけでなく「どの売り場経由で売れたか」まで見えてきます。

ECサイトでは、ひとつの商品が複数の場所のカートボタンから注文されるのが一般的です。商品紹介ページ、カテゴリーページ、検索結果ページ、商品ランキング、ブログ記事。お客様はさまざまな入口から購入に至ります。

掲載場所ごとに収益やCVRの明細を見られると、施策の磨きどころが分かります。たとえば、あるブログ記事経由の注文が際立って多いと分かれば、その記事を見直して「なぜ売れているのか」を分析し、他の記事や商品ページに応用できます。逆に、力を入れているのに注文につながっていない売り場が分かれば、そこは作り直す判断ができます。「どこから売れているか」が見えると、販促はあてずっぽうから、根拠のある改善へ変わります。

自社ECが売れない原因を幅広く整理したい方は「自社ECサイトが売れない7つの理由と改善策」を、在庫データを販促全体の起点にする考え方は「在庫データを起点にECの販促を変える」もあわせてご覧ください。

売上は分かるのに、利益を出している商品が分からないのはなぜですか?

商品ごとに収益率が異なるうえ、多くのショッピングカートやアクセス解析ツールが「商品別の収益」を見られるようになっていないためです。一般的なカートの商品一覧は商品名・価格・登録日順でしか並べ替えられず、収益順で稼ぎ頭を把握すること自体が難しいのが実情です。

「塩漬け在庫」とは何ですか?なぜ問題なのですか?

仕入れてから長期間(たとえば30日以上)注文がない在庫を指します。最大の問題はキャッシュフローの圧迫です。仕入れ代金の支払いが売上の入金より先に来るため、当月中に売り切れないと資金繰りが苦しくなります。保管スペースのコスト以上に重視すべき問題です。

塩漬け在庫はどうすれば動かせますか?

タイムセールで購入率を高めつつ、「今日のおすすめ商品」枠などでアクセスを集める方法が有効です。商品別分析で動いていない在庫を特定し、おすすめ枠の配信とタイムセールを予約設定すれば、担当者が少人数でも計画的に売り切る運用が可能になります。

まとめ

「どの商品が利益を出しているか分からない」のは、売上と収益が別ものであるうえに、多くのツールが商品別の収益を見られるようになっていないためです。

商品ごとにアクセス・注文・売上・収益・在庫を一覧でき、収益順に並べ替えられる環境を整えると、強化すべき稼ぎ頭、整理すべき塩漬け在庫が見えてきます。さらに、割引・在庫の条件別、掲載場所別に分析できれば、打った施策の効果を検証し、販促を磨き続けられます。感覚に頼った商品判断を、データを根拠にした判断へ。その出発点が、商品別の収益分析です。

 商品ごとのCVR・売上・収益・在庫を一覧で見える化し、「売れ筋」と「稼ぎ頭」を切り分ける。ストックビジョンは、makeshopの売上データを商品単位で可視化するEC販促自動化アプリです。14日間の無料トライアルで、まずは自社の数字をご覧ください。

関連記事

あわせて読みたい記事をご紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です