制作会社のためのEC保守・運用メニューの作り方

「ECサイトを納品した後、月額の保守契約を結んでいる。しかし金額は月数千円から1万円ほど。サーバーの管理と、ちょっとした修正対応で、それ以上は請求しづらい」。Web制作会社から、こうした声をよく聞きます。

保守契約はせっかくの継続収益(ストック収益)の入口です。しかし中身がサーバー保守中心では、金額を上げにくく、クライアントにも価値が伝わりにくい。この記事では、クライアントが納得して対価を払う「EC保守・運用メニュー」の作り方を解説します。

結論:運用メニューは「守りの保守」と「攻めの運用支援」の二層で設計する

最初に結論をお伝えします。価値が伝わり、フィーも上げられる運用メニューは、「守りの保守」と「攻めの運用支援」の二層構造で設計します。

多くの制作会社の保守契約は、前者の「守りの保守」だけで構成されています。サーバーやドメインの管理、CMSやプラグインのアップデート、軽微な修正対応、不具合時の復旧。これらは確かに必要な仕事ですが、クライアントから見ると「問題が起きないための備え」であり、積極的にお金を払いたいものではありません。だから金額を上げにくいのです。

これに対して「攻めの運用支援」は、クライアントの売上に直接貢献する仕事です。サイトの改善提案、販促の設計支援、データ分析のレポート。これらは「売上を伸ばすための投資」としてクライアントに認識され、守りの保守よりも高い対価を設定できます。

運用メニューを作るとは、この二層をはっきり分けて設計し、クライアントに「守り」と「攻め」の両方の価値を示すことです。順に見ていきます。

第一層:守りの保守メニュー

守りの保守は、ECサイトを安定して動かし続けるための仕事です。代表的な項目を挙げます。

サーバー・ドメインの管理と更新。CMSやテーマ、プラグインのアップデート対応。サイトのバックアップ。SSL証明書などセキュリティの維持。不具合発生時の調査と復旧対応。商品の追加やバナー差し替えといった、軽微な更新作業の代行。

これらは「サイトが止まらない・壊れない」ことを保証するメニューです。クライアントにとっては安心料にあたります。守りの保守は、それ自体で大きな利益を生むメニューではありませんが、運用契約のベースとして必要です。

ここで大切なのは、守りの保守メニューを「当たり前のもの」として安売りしないことです。サーバー障害やセキュリティの問題が起きたとき、対応できる体制があることには明確な価値があります。守りの保守は、次に述べる「攻めの運用支援」とセットで提案することで、運用契約全体の土台として位置づけられます。

第二層:攻めの運用支援メニュー

運用メニューの価値を決めるのは、この「攻めの運用支援」です。クライアントの売上に貢献する仕事を、メニューとして組み立てます。

たとえば、次のような項目が考えられます。月次のデータレポート。どの商品が見られ、どの商品が売れ、どこで購入が諦められているかを、クライアントに分かる形でまとめて報告する。改善提案。データをもとに「次にここを直すと、この数字の改善が見込める」という提案を継続的に行う。販促の設計支援。セールやキャンペーンの企画・実行を支援する。

こうした攻めの運用支援は、クライアントにとって「売上を伸ばすための継続的なパートナーシップ」です。サーバー保守とは価値の質が違うため、別メニュー・別料金として設計でき、運用契約全体の単価を引き上げます。

ただし、攻めの運用支援を提供するには、制作会社側に「クライアントのサイトを継続的にデータで見られる仕組み」が必要です。月次でレポートを出すにも、改善を提案するにも、その根拠となるデータが要ります。ここが、攻めの運用支援メニューを作るうえでの実務的な鍵になります。

攻めの運用支援を支えるデータの仕組み

攻めの運用支援メニューを成立させるには、クライアントのECサイトを商品単位で継続的に分析できる手段が必要です。

しかし、これを制作会社が一から構築するのは現実的ではありません。一般的なアクセス解析は導入できても、商品ごとのCVR(コンバージョン率。サイト訪問者のうち購入に至った割合)や、購入直前の離脱、割引や在庫の状況による売れ方の違いまでは捉えにくいためです。月次レポートや改善提案の「材料」を、効率よく安定して得られる仕組みが要ります。

ここで選択肢になるのが、ストックビジョンのようなEC販促自動化アプリの活用です。ストックビジョンは、商品ごとのCVRや収益を可視化し、カート周辺の接客や販促を担う、makeshop公式のアプリです。制作会社がこのアプリをクライアントに導入すれば、その分析画面が、そのまま月次レポートや改善提案の材料になります。

つまり、ストックビジョンの導入支援そのものを運用メニューに組み込めます。「ストックビジョンの導入と初期設定」「ストックビジョンのデータを使った月次レポート」「データに基づく改善提案」——これらをパッケージにすれば、攻めの運用支援メニューが具体的な形になります。アプリの利用料はクライアントが負担し、制作会社はその運用支援で月額フィーを得る。制作会社が分析の仕組みを自前で抱える必要はありません。

運用メニューの提示の仕方

最後に、作った運用メニューをクライアントにどう提示するかに触れます。

運用メニューは、「守りの保守」と「攻めの運用支援」を分けて提示することをおすすめします。ひとつのプランに混ぜてしまうと、クライアントには「保守料」としてしか見えず、攻めの運用支援の価値が埋もれます。

たとえば、守りの保守を基本プランとし、攻めの運用支援を上位プランまたはオプションとして提示する。クライアントは、まず基本プランで契約し、売上への関心が高まったところで上位プランへ移行する、という選択ができます。制作会社にとっては、基本プランで継続契約のベースを確保しつつ、上位プランで単価を伸ばす余地を持てます。

運用メニューを二層で設計し、分けて提示する。これが、ECの保守・運用を「安い保守契約」から「価値あるストック収益」に変える進め方です。

よくある質問

EC保守・運用メニューの料金が上げられないのはなぜですか?

メニューの中身がサーバー保守や軽微な修正といった「守りの保守」に偏っているためです。守りの保守は、クライアントから見ると「問題が起きないための備え」であり、積極的に対価を払いたいものではありません。売上に貢献する「攻めの運用支援」をメニューに加えることで、フィーを引き上げられます。

「攻めの運用支援」とは具体的に何ですか?

クライアントの売上に直接貢献する運用の仕事です。月次のデータレポート(どの商品が売れ、どこで離脱が起きているかの報告)、データに基づく改善提案、セールやキャンペーンの設計支援などが該当します。これらは「売上を伸ばすための投資」としてクライアントに認識され、守りの保守より高い対価を設定できます。

攻めの運用支援を始めるには何が必要ですか?

クライアントのECサイトを商品単位で継続的にデータで見られる仕組みが必要です。月次レポートや改善提案には、その根拠となるデータが要るためです。ストックビジョンのようなEC販促自動化アプリを導入支援とあわせて運用メニューに組み込めば、その分析画面がレポートや提案の材料になり、制作会社が分析の仕組みを自前で構築する必要はありません。

まとめ

EC制作会社が保守・運用を価値あるストック収益にするには、運用メニューを「守りの保守」と「攻めの運用支援」の二層で設計します。

守りの保守は、サイトを安定稼働させるための安心料にあたるメニューで、運用契約の土台になります。一方、運用メニューの価値を決めるのは攻めの運用支援です。月次のデータレポート、データに基づく改善提案、販促の設計支援といった、クライアントの売上に貢献する仕事をメニュー化することで、フィーを引き上げられます。

攻めの運用支援には、クライアントのサイトを継続的にデータで見られる仕組みが必要です。ストックビジョンのようなアプリを導入支援とあわせて運用メニューに組み込めば、制作会社は分析の仕組みを自前で抱えることなく、攻めの運用支援を提供できます。

ストックビジョンの認定パートナー制度では、こうした運用メニューの作り方を含めて学べる無料の「認定パートナー講座」をご用意しています。下記からお気軽にご参加ください。

「作って終わり」から
継続して支える関係へ

ストックビジョンの認定パートナー制度は、Web制作会社・EC支援会社が、リニューアル後もデータにもとづく運用提案で継続的に関わるための仕組みです。受託制作だけに頼らない収益の柱を持てます。制度の詳細は、認定パートナー説明会でご案内しています。

関連記事

あわせて読みたい記事をご紹介します。