アクセスはあるのに売れないECサイト|カート周辺の離脱の正体
「アクセス解析を見ると、サイトには人が来ている。広告も効いている。それなのに注文が伸びない」。ECサイト運営で、こうした状況に悩む事業者は少なくありません。
集客はできているのに売れない。これは、集客の問題ではなく転換の問題です。サイトを訪れた人が、注文に至る前にどこかで離れている。この記事では、その離脱が「どこで」「なぜ」起きているのかを解き明かし、離脱を防ぐ考え方を解説します。
「集客できているのに売れない」は、転換の問題
結論から言えば、それは集客ではなく「転換」の問題です。順に問題を切り分けます。
ECサイトの売上は、ざっくり「訪問者数×転換率(CVR)」で決まります。アクセスがあるのに売れないということは、訪問者数は確保できていて、転換率のほうに問題があるということです。つまり、これ以上集客を増やしても、転換率が低いままでは売上は伸びにくい。手を入れるべきは集客ではなく、訪れた人が注文に至るまでの流れです。
では、訪問者は具体的にどこで離れているのでしょうか。
離脱は「カートボタン周辺」で起きている
ECサイトの離脱には、いくつもの地点があります。トップページですぐ帰る人、商品を探している途中で離れる人、カートに入れたあとに離れる人。なかでも見落とされやすく、かつ売上への影響が大きいのが、購入を決める直前、カートボタン周辺での離脱です。

商品ページを開き、写真を見て、説明を読み、価格を確認する。ここまで進んだ人は、その商品に明確な興味を持っています。あと一歩、カートボタンを押せば注文に進む。にもかかわらず、その最後の一歩で離れてしまう人がいる。
ここで離脱されるのは、もっとも惜しいパターンです。集客にコストをかけ、商品ページまで読んでもらい、購入意欲も十分にある。それなのに、カートボタンの手前で取りこぼしている。購入の意思決定が最後に行われるカートボタン周辺は、ECサイトでもっとも重要な場所でありながら、もっとも対策が手薄になりやすい場所でもあります。
なぜカートボタンの手前で離れるのか
購入意欲のある人が、なぜ最後の一歩で離れるのか。理由の多くは、購入を決めるために必要な情報が、その場に足りていないことです。
人が「買う」と決めるとき、価格以外にも確認したいことがあります。代表的なのが次の3つです。
いつ届くのか(納期):「欲しいけれど、いつ届くのか分からない」。この不安があると、購入は後回しになります。とくに、注文を受けてから仕入れるお取り寄せ品は納期が読みにくく、発送予定日が示されていないと、お客様は判断できません。
本当に買えるのか(在庫):在庫があるのかどうか、即日発送なのかどうか。在庫状況が曖昧だと、「念のためあとで」と保留にされてしまいます。
今買うのが得なのか(送料・セール):送料無料まであといくらか、この商品はセール対象か、使えるクーポンはあるか。「もしかしてセールしていないか」と気になったお客様が、確かめに行こうとして一度ページを離れ、そのまま戻ってこない。これはよくある離脱パターンです。
これらの情報が、カートボタンを押そうとした瞬間に「見当たらない」と、お客様は「あとで考えよう」とページを閉じます。そして、その多くは戻ってきません。離脱は、情報の欠落が引き起こしているのです。
「離脱の事後対策」には限界がある
カートまわりの離脱対策として広く知られているのが、いわゆる「カゴ落ち対策」です。カゴ落ちとは、カートに商品を入れたまま購入に至らないことを指します。その対策として、カートに商品を入れたまま購入しなかった人に、後からメールでリマインドする。一度サイトを離れた人に、広告で再訪を促す。
こうした施策には一定の効果がありますが、ひとつ構造的な限界があります。それは、すべて「離脱が起きたあと」の対策だということです。
離脱したお客様を呼び戻すには、メール配信や広告のコストがかかります。そして、呼び戻せるのは離脱した人の一部にすぎません。リマインドメールに気づかない人、広告を見ても戻らない人のほうが多いのが実情です。事後対策は、こぼれた水をすくい直す作業に似ています。すくい直すより、こぼさないほうが効率的です。
大切なのは「離脱を発生前に抑止する」こと
そこで発想を変えます。離脱した人を後から追いかけるのではなく、そもそも離脱が起きないようにする。これが「発生前の抑止」です。

カートボタン周辺での離脱が「情報の欠落」によって起きるのであれば、対策はシンプルです。お客様が購入を決めるために必要な情報を、カートボタンのすぐそばに、あらかじめ揃えておけばよいのです。
具体的には、こうなります。
- 納期:在庫品なら発送タイミング、お取り寄せ品なら欠品時の発送予定日を、商品ごとに正確に表示する
- 在庫・発送:在庫の状況や即日発送の可否を分かりやすく示す
- 送料・セール:送料無料までの残額、セール価格やクーポン情報を、その場に表示する
お客様が「いつ届く?」「買えるの?」「今が得?」と疑問に思ったとき、その答えがカートボタンのすぐ横にある。確かめにページを離れる必要がない。だから、購入の流れが途切れない。これが、離脱を発生前に抑止するということです。
カートボタン周辺は、購入意思決定の最前線です。ここに必要な情報を集約することは、事後対策のように継続コストがかかるものではなく、一度整えれば効き続ける土台になります。離脱対策は「こぼれた水をすくう」より「こぼさない器を作る」発想で取り組むのが、結局は近道です。
納期表示の具体的な作り方は「『いつ届きますか?』の問い合わせを減らすEC納期表示の作り方」で、自社ECが売れない原因の全体像は「自社ECサイトが売れない7つの理由と改善策」で、それぞれ詳しく解説しています。
よくある質問
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アクセスはあるのにECサイトで売れないのはなぜですか?
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集客ではなく転換の問題で、購入を決める直前のカートボタン周辺で離脱が起きていることが多くあります。商品ページまで読んで購入意欲があるのに、納期・在庫・送料・セールといった情報がその場に足りず、「あとで考えよう」とページを閉じられてしまうのです。
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カゴ落ち対策のリマインダーメールだけでは不十分ですか?
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リマインダーメールや再訪促進は「離脱が起きたあと」の対策で、呼び戻せるのは離脱した人の一部にとどまります。より効率的なのは、購入に必要な情報をカートボタン周辺にあらかじめ揃え、離脱そのものを発生前に抑止することです。
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カート周辺にはどんな情報を表示すればよいですか?
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お客様が購入を決めるために確認したい情報、すなわち「いつ届くか(納期)」「在庫・即日発送の可否」「送料無料までの残額やセール・クーポン情報」です。これらをカートボタンのすぐそばに表示すると、お客様が確かめにページを離れる必要がなくなります。
まとめ
アクセスはあるのに売れないECサイトの問題は、集客ではなく転換にあります。そして転換を妨げる離脱の多くは、購入を決める直前のカートボタン周辺で、納期・在庫・送料といった情報の欠落によって起きています。
リマインドメールや再訪促進といった事後対策には限界があります。離脱した人を後から追いかけるより、購入に必要な情報をカートボタン周辺にあらかじめ揃え、離脱そのものを発生前に抑止するほうが効率的です。最後の一歩でお客様を取りこぼさない売り場を作ることが、アクセスを売上に変える鍵になります。
その「なんとなく」
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