GA4では分からない「商品別CVR」の見方|売れ筋と稼ぎ頭は違う
「GA4を入れているのに、どの商品が売れているのか今ひとつ分からない」。EC運営でデータを見ようとしたとき、こう感じたことはないでしょうか。
GA4(Googleアナリティクス4)は強力な分析ツールですが、ECの「商品単位」で意思決定したいときには、見たい数字が見えにくいという特性があります。この記事では、GA4で商品別CVR(コンバージョン率)が把握しにくい理由と、商品単位でデータを見ると何が変わるのか、その考え方を解説します。
GA4は「ページ単位」、ECが知りたいのは「商品単位」
GA4が得意とするのは、サイト全体やページ単位の分析です。どのページがよく見られ、どこから流入し、どこで離脱したか。こうした「サイトの動き」を追うことにかけては非常に優秀です。
一方で、EC事業者が本当に知りたいのは、多くの場合商品単位の数字です。
- この商品は何回表示され、何回注文されたのか
- どの商品の成約率(CVR)が高く、どの商品が低いのか
- 割引しているとき、在庫があるとき、CVRはどう動くのか
GA4にもeコマース計測の機能はあり、商品の表示や購入をイベントとして取得できます。しかし注意したいのは、これらが最初から自動で揃っているわけではないことです。商品ごとの閲覧を計測するには、eコマース用のイベントを追加で実装する必要があります。とくに見落とされやすいのが、商品一覧ページや検索結果、ランキングから商品が見られたときの計測です。商品詳細ページのアクセスは標準のページ計測で拾えても、一覧ページ上での「商品ごとの閲覧」は、専用の実装をしなければ計測されません。設定の手間やレポート画面の複雑さも加わり、「商品ページ=1ページ」という構造の中で商品ごとのCVRを直感的に、しかも正確に比較するには、ひと工夫もふた工夫も必要になります。
結果として多くのEC事業者が見ているのは、サイト全体の平均CVRです。「うちのサイトの平均CVRは1.2%」。この数字は把握できても、その平均の内訳、つまり「どの商品が平均を引き上げ、どの商品が足を引っ張っているか」は見えていない。ここに、EC分析の大きな空白が生まれています。
平均CVRを見ているだけでは、打ち手が決まらない

なぜ「平均」では不十分なのでしょうか。
サイト全体の平均CVRが1.2%だったとして、その数字から次に何をすべきかは決まりません。平均を上げたいと思っても、どの商品に手を入れれば効くのかが分からないからです。
ここで必要になるのが、商品単位での分解です。商品ごとにCVRを並べてみると、たとえば次のような事実が見えてきます。
- アクセスは多いのにCVRが極端に低い商品がある(=見られているのに買われていない。商品ページや見せ方に改善余地)
- アクセスは少ないがCVRが高い商品がある(=刺さる人には刺さっている。露出を増やせば伸びる可能性)
- 平均CVRを一手に引き上げている「主力商品」が特定できる
これが見えて初めて、「どの商品に、何をすべきか」が具体的に決まります。平均を眺めているだけでは生まれない、打ち手の解像度です。
「売れ筋」と「稼ぎ頭」は同じではない
商品単位で見ると、もう一つ重要な事実が浮かび上がります。それは、「売上が大きい商品」と「利益を生んでいる商品」は一致しないことが多いということです。

これは、多くの商品を扱うショップであれば、ほぼ必ず起きることです。理由は、商品ごとに収益率が大きく異なるためです。
たとえば、自社で企画・開発した商品は、一般に収益率が高くなります。一方、他社から仕入れる商品は、仕入条件、いわゆる掛率(定価に対する仕入価格の割合。掛率が高いほど手元に残る利益は薄い)が商品によってまちまちです。そして厄介なことに、人気がある商品ほど掛率が高めに設定される傾向があります。よく売れる商品ほど、1個売れたときに手元に残る利益の割合は薄い、ということが起こりがちなのです。
その結果、こうなります。人気の仕入商品は、よく売れるので売上ランキングの上位に並ぶ。つまり「売れ筋」です。ところが収益額を計算してみると、掛率の高さが効いて、思ったほど稼げていない。代わりに、売上順位ではそこまで目立たない自社開発の商品のほうが、収益では上位に来る。これが本当の「稼ぎ頭」です。私たちパークフィールドが運営する自社EC「フラワーレメディ」でも、収益額で並べ直すと、稼ぎ頭は自社開発商品であることが多いのが実情です。
「何を売っているか(売上)」と「何で稼いでいるか(収益)」。この2つを並べて比較すると、主力だと思っていた商品の見え方が変わります。売上順だけを見て販促リソースを配分していると、利益の薄い売れ筋商品をさらに値引きして売るという、収益的には逆効果の判断をしてしまいかねません。
ところが、ここに一般的なネットショップの落とし穴があります。多くのショッピングカートの商品検索や一覧表示は、商品名・販売価格・登録日順でしか並べ替えられないことがほとんどです。「収益順」で商品を並べる手段が、そもそも用意されていない。だから、稼ぎ頭がどれかを把握すること自体が難しいのです。商品別のデータを「売上順」と「収益順」の両方で並び替えられる状態にしておくこと。これが、稼ぎ頭を取り違えないための前提になります。
同じ商品でも、条件によってCVRは動く
商品別CVRをさらに一歩踏み込んで見ると、「同じ商品でも状況によってCVRが変わる」ことが分かります。とくに効くのが、割引の有無と在庫の有無という2つの条件です。
同じ商品が、割引中のときと通常価格のときでCVRがどう違うか。在庫が潤沢なときと、残りわずかのときでどう違うか。これを比較できると、販促判断の根拠が一気に増えます。
- 「この商品は割引するとCVRが大きく伸びる」→セール対象に向く
- 「この商品は割引してもCVRがほぼ変わらない」→値引きせず売るべき
- 「在庫が少ないと表示されるとCVRが上がる」→在庫状況の見せ方が購買を後押ししている
割引や在庫の条件別にCVRを比較することは、感覚的な「なんとなくこの商品をセールに」という判断を、データに裏付けられた判断に変える作業です。
【フラワーレメディの経験】CVR60%超という“ありえない数字”
私たちパークフィールドが自社で運営するEC「フラワーレメディ」も、まさにこの壁に直面しました。きっかけは、ある人気商品のコンバージョン率を確かめようとしたときのことです。
注文数は、ショッピングカート側ですぐに分かります。問題は分母となるアクセス数です。GA4で集計してみたところ、その商品のCVRは60%を超えるという数字が出ました。ECのCVRとしてはありえない異常値です。何かがおかしい。そう考えて原因を調べました。
分かったのは、こういうことでした。その商品は、商品詳細ページだけでなく、商品一覧ページにもカートボタンが設置されていて、どちらからでも注文できる状態でした。ところがGA4は、商品詳細ページのアクセスは計上する一方で、カートボタン付きの一覧ページの「商品ごとの閲覧」は計測していなかったのです。
これは顧客行動を考えると腑に落ちます。初めてショップを訪れたお客様は、商品詳細ページをじっくり見てから買うことが多い。しかしリピーターは、すでに商品を知っているので、検索結果や一覧ページから詳細ページを経由せず、そのままカートに入れて買ってしまう。その「詳細ページを通らない購入」が、分母から丸ごと抜け落ちていました。
分子(注文数)は正確で、分母(閲覧数)は一覧ページ分が欠落していた。だからCVRが実態よりはるかに高く出ていたのです。GA4は本来とても優秀なツールですが、あくまでページ単位の解析ツールであり、商品単位で見たときに正しい数字を出してくれるとは限らない。これを、私たちは身をもって知りました。
GA4をカスタマイズし、一覧ページでも商品ごとの閲覧をカウントする実装を加えれば、商品単位の正確な分析は可能になります。ただし、それには専用の追加実装が必要で、相応のコストがかかります。「商品単位で正確なマーケティングがしたい。それを、もっと手軽に実現できないか」。この現場の悩みこそが、ストックビジョンという仕組みが生まれた出発点でした。商品別CVRを正確に見られるようにするという発想は、机上のアイデアではなく、自社EC運営でつまずいた経験から出てきたものです。
商品別CVR分析の始め方
ここまでをまとめると、ECのデータ分析で必要なのは、サイト全体の平均ではなく、商品単位での可視化です。具体的には、次の状態をつくることが出発点になります。
- 商品ごとに「表示回数・注文数・CVR・売上・収益・在庫」が一覧で見える
- 「売上順」と「収益順」の両方で並び替えられる
- 「割引の有無」「在庫の有無」の条件でCVRを比較できる
この環境が整うと、「いま対応すべき商品はどれか」がひと目で分かるようになります。感覚や経験に頼っていた商品判断を、データを根拠にした判断へ切り替えられること。これが商品別CVR分析の本質的な価値です。
なお、CVRと並んで重要なのが「利益」の視点です。売上と収益のズレをどう読み解くかは、別記事「『どの商品が利益を出しているか分からない』を解決する商品別収益分析」で詳しく解説しています。また、自社ECがそもそも売れない原因を幅広く整理したい方は「自社ECサイトが売れない7つの理由と改善策」をあわせてご覧ください。
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GA4で商品ごとのCVRは見られますか?
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GA4はサイト全体・ページ単位の分析には強い一方、商品ごとのCVRは標準では把握しにくい特性があります。とくに商品一覧ページや検索結果からの「商品ごとの閲覧」は、eコマース用イベントを追加実装しないと計測されず、商品単位の正確なCVRが出ない原因になります。
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「売れ筋」と「稼ぎ頭」は違うのですか?
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違うことが多くあります。商品ごとに収益率が異なり、人気の仕入商品ほど掛率が高く利益が薄い傾向があるためです。売上ランキング上位の「売れ筋」が、収益で見ると上位ではないことは珍しくありません。売上順と収益順の両方で並べ替えて確認することが大切です。
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商品別CVRを正確に把握するにはどうすればよいですか?
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商品ごとにアクセス数・注文数・売上・収益・在庫を一覧でき、収益順に並べ替えられる分析環境を整えることが出発点です。GA4をカスタマイズする方法もありますが追加実装のコストがかかります。makeshopでは専用アプリで商品単位の計測を行う選択肢もあります。
まとめ
GA4はサイト全体・ページ単位の分析には優れていますが、ECが意思決定に必要とする「商品単位のCVR」は把握しにくいという特性があります。サイト全体の平均CVRを眺めているだけでは、次の打ち手は決まりません。
商品ごとにCVR・売上・収益・在庫を並べ、「売れ筋」と「稼ぎ頭」を区別し、割引・在庫の条件別にCVRを比較する。この商品単位の可視化ができて初めて、販促は感覚から根拠へと変わります。まずは自社の商品が「どれだけ見られ、どれだけ買われ、どれだけ稼いでいるか」を商品単位で見える状態をつくることから始めてみてください。
その「なんとなく」
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