そのEC業務、本当に自動化していい? EC運営を仕組み化する前に考えること

「なんでも自動化すればいい」わけではない

EC事業が軌道に乗り、売上が伸びてくると、それに比例して増えていくのが日々の運用業務です。商品ページの更新、バナーの差し替え、ランキングの集計、注文後のフォローなど、やるべきことは次々に積み上がっていきます。

こうした状況を受けて、「業務を自動化しましょう」という提案は数多く見かけます。実際、受注処理や在庫連携から、サイト上のバナー・ランキング表示まで、EC運営を効率化するためのツールやシステムは年々充実してきました。

ただ、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。それは、目の前の業務をとりあえず自動化するのではなく、そもそもその業務は自動化すべきものなのか、という問いです。自動化には向き不向きがあり、すべての業務を無条件に仕組み化してしまうと、かえってデメリットになることもあります。

自動化に向いているのは「ルーティンワーク」

まず、自動化に向いている業務から整理します。共通しているのは、判断を必要としない、決まった手順で繰り返される作業だという点です。

例えば、以下のような業務が挙げられます。

  • 売れ筋商品のランキング集計と、ページへの反映
  • セール開始・終了に合わせたバナーの差し替え
  • 在庫状況や配送日程の表示更新

これらは、担当者が毎回同じルールに沿って処理している業務です。ルールが明確であるということは、システムに置き換えても品質が落ちないということでもあります。むしろ、更新のし忘れや入力ミスといった、人が介在するからこそ起きるトラブルを減らせる場合が多くあります。

自動化に向いていないのは「人が丁寧に向き合うべき仕事」

一方で、自動化に向かない業務もあります。それは、顧客一人ひとりの状況や、商品・ブランドの独自性が関わってくる仕事です。

代表的なものが、新しいキャンペーンの企画立案です。どんな切り口で、どの商品を、どのタイミングで打ち出すか。これは過去のデータを参考にはできても、最終的には人の発想や判断が求められる領域です。

もうひとつが、顧客対応の質です。もちろん、よくある質問への一次回答をテンプレート化するなど、部分的に自動化できる範囲はあります。しかし、個別の事情を丁寧にくみ取って返信するような対応まで機械的なテンプレートに置き換えてしまうと、顧客が受け取る印象はどうしても画一的になります。丁寧な対応をしてくれる店だからこそ選ばれる、という関係性は、こうした人の手による部分に支えられています。

自動化の目的は、時間を「削る」ことではなく「余力を増やす」こと

ここまでの内容を踏まえると、自動化の本質が見えてきます。それは、単純に作業時間を削ることではなく、自動化により「余力を増やす」という発想です。

弊社がこれまで多くのEC事業者を見てきた中でも、ルーティンワークを仕組み化した事業者ほど、その後の動きに違いが出ていると感じます。更新作業に追われていたスタッフが、新しいキャンペーンの企画や、顧客一人ひとりへの丁寧な対応に時間を使えるようになるためです。自動化によって手が空いた時間を、人にしかできない仕事に充てられるかどうかが、その後の成果を左右します。

なお、この考え方は商品の見せ方にも関わってきます。EC運営では「商品の品揃え」が重視されがちですが、実は「情報の品揃え」も同じくらい重要です。在庫状況や配送日程、売れ筋ランキングといった情報が古いまま放置されていると、せっかく訪れた顧客が離脱する原因になります。自動化によって情報の鮮度を保つこと自体が、機会損失を防ぐ取り組みだといえます。

サイトの構造ごとに見る、自動化できる業務の全体像

どの業務が自動化に向いているかは、サイトのどの部分かによっても整理できます。

サイトの箇所自動化しやすい業務の例
トップページ・カテゴリページ新着商品の表示、カテゴリ別ランキングの更新
商品ページ配達日程の自動表示、関連商品・在庫状況の反映
購入後(サンクスページ)次回購入を促す案内、簡易アンケートの表示

いずれも、担当者が毎回同じ手順で対応している業務です。それぞれの具体的な仕組み化の方法については、配達日程の自動表示、ランキングの自動更新、売れ残り在庫の値引き自動化、サンクスページの活用といったテーマで、別の記事で詳しく取り上げる予定です。

自動化を進めるときに気をつけたいこと

自動化を検討する際は、一気にすべてを仕組み化しようとしないことをおすすめします。まずは「これを自動化しても、顧客が受け取る体験の質は落ちない」と言い切れる業務から着手するのが安全です。特に在庫連動や価格の自動反映など、間違えれば顧客に直接影響する領域は、最初から全自動で運用するのではなく、段階的に精度を確認しながら進める方が安心です。

ストックビジョンでは、必要な機能だけを追加して、段階的に自動化を推進できます

弊社のEC自動化ツール「ストックビジョン」では、必要な機能だけを追加して、段階的に自動化を推進することができます。「まずはランキングの集計・更新だけ自動化しよう」といったように、一つ一つを試しながら、EC運営の自動化を進めていくことができます。月額費用も追加した機能数に応じるため、「まずは少しずつはじめて、徐々に自動化を進めていく」という運用に適しています。

まとめ:自動化は目的ではなく、人にしかできない仕事のための手段

EC運営における自動化は、それ自体が目的ではありません。ルーティンワークを仕組み化し、そこで生まれた時間を、キャンペーンの企画や顧客一人ひとりへの丁寧な対応といった、人にしかできない仕事に充てること。これこそが、自動化に取り組む本当の意味だと弊社は考えています。

自社の業務を見直す際は、「これは自動化すべきか」だけでなく、「これは人が丁寧に向き合うべき仕事ではないか」という視点もあわせて持つことをおすすめします。