「あと◯時間の注文で当日発送」表示は、カゴ落ち対策だけではない

配達日程表示は「カゴ落ち対策」だけではない
商品ページに「あと〇時間〇分のご注文で当日発送」と表示する仕組みは、多くの記事でカゴ落ち対策のひとつとして紹介されています。確かに、配送日程が明確に示されていれば、購入を迷っている顧客の不安を減らす効果はあります。
ただ、この仕組みが持つ役割は、カゴ落ち対策だけにとどまりません。実際には、日々の運用そのものを楽にする効果や、コンバージョン率を直接押し上げる効果もあります。今回は、この2点を中心にお伝えします。
多くのEC事業者を悩ませる「いつ届きますか」問い合わせ
EC事業者からよく聞くお悩みのひとつが、「商品はいつ届きますか」という問い合わせへの対応です。配達日程がサイト上で分かりにくいと、この種の問い合わせが集中し、対応に多くの工数を取られてしまいます。
問い合わせ対応そのものは、顧客一人ひとりに向き合う大切な仕事です。しかし、聞かれれば毎回同じ内容を答えるような定型的な問い合わせは、本来であれば発生する前に解消しておきたいものです。配達日程をサイト上に自動表示しておくことは、こうした問い合わせを未然に減らす、いわば「先回りの回答」としての役割を果たします。
カウントダウン表示が生む「今買う理由」
もうひとつの効果が、購入の後押しです。「あと〇時間〇分」と時間が刻々と減っていく表示は、顧客に対して「今すぐ注文すれば、早く届く」という具体的なメリットを伝えます。これは、単に配送日を静的に表示する場合には得られない、動きのある訴求です。
実際に弊社で実験したところ、配達日程のカウントダウン表示があるページとないページとでは、コンバージョン率に差が出るという結果が出ています。どの程度の差になるかは商品や客層によって変わるため一概には言えませんが、購入の後押しになるという方向性自体は、複数の検証を通じて確認できています。
「あと〇時間」表示を成立させる仕組みの全体像
この表示を実現するには、いくつかの要素を組み合わせる必要があります。整理すると、以下のようになります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| カットオフタイム | 当日発送の対象となる、注文の締切時刻 |
| 在庫状況 | 当日発送の対象は、拠点内に在庫がある商品に限られる |
| 配送先エリア | 都道府県や配送業者によって、到着までのリードタイムが異なる |
これらの情報を組み合わせて、「今この瞬間、注文したら何時間何分後に締め切られるか」をリアルタイムに計算し、表示する仕組みが必要になります。
こうした仕組みは、Javascript等を使って自主開発し、自社ECに組み込むことも可能です。また、ストックビジョンの「納期・販促パネル」機能を使えば、特別なWEB開発の技術がなくても実現できます。
なぜ自動化が必要なのか。手作業では立ち行かない理由
ここまでの内容を、もし手作業で運用しようとするとどうなるでしょうか。カットオフタイムは商品やキャンペーンによって変わりますし、在庫状況は注文が入るたびに変化します。これらを毎日、あるいは注文が入るたびに人の手で書き換え続けるのは、現実的ではありません。
弊社の1本目の記事(EC運営の仕組み化についての総論)でも触れましたが、EC運営では「商品の品揃え」だけでなく「情報の品揃え」も重要です。配達日程の情報が古いまま放置されていると、せっかくの購入後押し効果が失われるだけでなく、実態と異なる情報を提示してしまうリスクにもつながります。こうした情報こそ、自動で正確に更新し続ける仕組みが必要な典型例だといえます。
導入時に気をつけたいこと
配達日程の自動表示を導入する際に、特に注意したいのが表示と実態のずれです。表示上は「本日中に発送」となっていても、実際の出荷体制が追いついていなければ、顧客の期待を裏切ることになります。この種のずれは、購入後の不満や低評価レビューにつながりやすい部分です。
また、モールに出店している場合は、Yahoo!ショッピングの優良配送のように、配送スピードがモール内の検索順位に影響する仕組みが存在します。自社ECサイトでの表示と、モール側の評価基準の両方を意識しておくと、より効果的に活用できます。
まとめ
「あと〇時間の注文で当日発送」という表示は、カゴ落ち対策の一手法として語られがちですが、実際にはそれ以上の役割を持っています。問い合わせ対応の手間を減らし、購入の後押しにもなる仕組みだからこそ、手作業ではなく自動化して運用することに意味があります。まずは自社の出荷体制と、表示内容にずれがないかを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
